「MEG」という「マーケティング」
「MEG」というアーティストをご存知だろうか。
流行のエレクトロポップアーティストの一人であるが、その中でも特に異彩を放っているのが彼女だ。
彼女の「アート」を楽しむためには、「あること」を理解することが必要だ。
それは、彼女は「偶像」であり、彼女を形成する「マーケティング」こそが彼女という「アート」だということだ。
【MEGのポジショニング】
もともと、ファッション業界からの注目が高かったMEG。
シンガーとしてのMEGが本格的に注目されたのは、中田ヤスタカ氏の全面プロデュースで発売されたアルバム「BEAM」からだろう。
まず、目を奪われるのはそのセクシーなジャケット。
お尻丸出しでキャッチなポーズをとるMEGに、一度は手に取らざるを得ない興奮を覚える。
そして、後になってこのジャケットの「深さ」を知ることになるのだ。
収録曲は中田ヤスタカらしいエレクトロで、ぶっちゃけると「Perfume」だ。歌唱についても、大いにエフェクトがついているので正当に評価を与えるのは難しい。
しかし、このアーティストを「露出売りのPerfumeもどき」と評価を下すのはいささか早計である。
このアーティストの真骨頂は隅々まで練りに練り込まれた「アイコン性」にあるのだ。
【正しいMEGの楽しみ方】
前述したが具体的にコンテンツを見る前にもう一度言っておこうと思う。
MEGの最大の魅力は「アイコン性」にある。
マーケティングを重ね、完成された「存在=アート」という境地に注目して以下のコンテンツを見てほしい。
まずはPVだ。
私はMEGをフォローする際ののスタートアップには、ライブかPVをお薦めしたい。
それほど、MEGというマーケティングにとって重要なのだ。
MEG - PRECIOUS
MEG - PRECIOUS (dance clip)
MEG - HEART
次にCDジャケットだ。
彼女のポップさとは裏腹に大変セクシーなものが多い。
ここにも、秘められたマーケティングが隠されている。
表情のあどけなさとセクシーさのギャップ。
そして、何より確信犯的な部分を隠そうとしていない。
この大上段の構えが、彼女を単なるアイドルから「只者ではない何者か」へと一段押し上げている。
これらビジュアルやパフォーマンスから、
彼女にはどこか「少女の無邪気さ」を感じる。
だが、それは「偶像」だ。
しかし、それを分かって「偶像」としての彼女を見つめると、大変面白い。
印象的なジャケット
ポップな曲
親しみやすいダンス
こだわりのファッション
ステージパフォーマンス
メディア露出
それら全てが、「MEG」というパーソナリティを形成するために計算されている。
彼女の存在に一環した意味を感じるのはそのためだ。
徹底したマーケティングと実践によって、
「存在=アート」
というパーソナリティを実現したのである。
「MEG」には理論があり科学があるのだ。
過去のアイドル・アーティストのメソッドの蓄積とポップシーンへのアジャスト。
それらは最盛期のつんく♂を思わせ、さらに、それを一人のパーソナリティで実現している点にYUKIと同質の存在の希少さがある。
MEGは我々が望むポップアイコンをあくまで確信犯的に「表現」しているのだ。
我々は彼女の手のひらの上で踊らされる。
それこそが、彼女というアートとの正しい接し方である。
きっと、踊らされる快感が分かってくるだろう。